赤ちゃんのヘルメット治療は必要?頭の形・向き癖・運動発達から考える判断のポイント

赤ちゃんの後頭部が平らになっている、左右で頭の形が違う、いつも同じ方向ばかり向いている……。

頭の形が気になって調べているうちに「ヘルメット治療」という方法を知り、

「うちの子にも必要なのだろうか」
「今すぐ始めないと間に合わないの?」
「ヘルメットをしないと、このまま頭の形が治らないの?」

と不安になっているお父さん、お母さんもいらっしゃると思います。

ヘルメット治療は、赤ちゃんの頭の成長を利用しながら形の改善を目指す治療法の一つです。しかし、頭の形が気になる赤ちゃんすべてにヘルメット治療が必要になるわけではありません。

そして、私たちがもう一つ大切にしていることがあります。

それは、

「頭の形だけを見るのではなく、なぜこの赤ちゃんはこの頭の形になっているのだろう?」

という視点です。

いつも同じ方向を向いていないでしょうか。
反対側を向きにくそうにしていないでしょうか。
身体を反らすことが多くないでしょうか。
うつ伏せを嫌がったり、左右の手足の使い方に違いがあったりしないでしょうか。

頭の形だけを見ていると気づかなかったことが、赤ちゃんの身体全体や動きを見ていくことで見えてくることがあります。

この記事では、ヘルメット治療が必要か迷っている方に知っていただきたい一般的な情報とともに、頭蓋仙骨 こども発達センターが大切にしている「身体全体と運動発達から赤ちゃんを見る」という視点についてお伝えします。

赤ちゃんのヘルメット治療は本当に必要?

すべての赤ちゃんにヘルメット治療が必要なわけではありません

赤ちゃんの頭の形に左右差があったり、後頭部が平らになっていたりしても、それだけでヘルメット治療が必要と決まるわけではありません。

赤ちゃんの頭蓋骨は成長途中にあり、出生時の影響や、同じ場所に圧力がかかり続けることなどによって頭の形が変化することがあります。

軽度の位置的な頭蓋変形では、赤ちゃんの成長や姿勢・運動の変化に伴い、頭の形が目立ちにくくなっていく場合もあります。

一方、変形の程度が強い場合などには、医療機関でヘルメット治療が選択肢として提示されることがあります。

大切なのは、

「頭がゆがんでいる=必ずヘルメット」

と考えることでも、

「赤ちゃんだから自然に治る」

と決めつけることでもありません。

その赤ちゃんの頭の状態、月齢、これまでの経過などを踏まえて考える必要があります。

頭の形だけで自己判断しないことも大切です

赤ちゃんの頭の変形の多くは、寝る姿勢など外からの圧力が関係する「位置的頭蓋変形」と呼ばれるものですが、まれに頭蓋骨の縫合が通常より早く閉じる「頭蓋骨縫合早期癒合症」など、専門的な診断や治療が必要な病気によって頭の形が変化している場合もあります。

家庭で見た目だけから区別することは難しいため、変形が強い場合や頭の形について心配がある場合は、まず小児科や頭の形を診療する専門外来など、適切な医療機関で相談することも大切です。

医療機関を受診することは、必ずヘルメット治療を始めるという意味ではありません。

「今の頭の状態を知る」という目的で相談してもよいのです。

そもそも、なぜ赤ちゃんの頭の形はゆがむのでしょう?

赤ちゃんの頭は外からの圧力の影響を受けやすい

生まれて間もない赤ちゃんの頭蓋骨は、これからの脳と頭の成長に対応できるよう、大人とは異なる構造をしています。

そのため、長い時間同じ場所に圧力がかかり続けると、後頭部が平らになったり、左右差が生じたりすることがあります。

例えば、いつも左側を向いて寝ている赤ちゃんでは、左側の後頭部に圧力がかかる時間が長くなります。

そこで一般的には、

「向き癖を改善しましょう」
「反対側から声をかけてみましょう」

などとアドバイスされることがあります。

もちろん、同じ場所への圧力を減らすという意味では大切な考え方です。

でも私たちは、そこで一つ、別の問いを持ちます。

「向き癖だから」で終わらせず、なぜ同じ方向を向くのか考えてみる

なぜ、この赤ちゃんはいつも左を向くのでしょうか?

いつもそちら側に人の気配や光、興味を引くものがあるなど、赤ちゃんがその方向へ注意を向けやすい環境になっていることも考えられます。

一方で、反対側へ首を動かしにくかったり、身体全体の使い方に左右差があったりすることもあります。

赤ちゃんにとって、いつも同じ方向を向いているほうが身体を動かしやすい状態になっていないでしょうか。

そのため当センターでは、頭の形だけではなく、

  • 首を左右にどのように動かしているか
  • 胸郭や体幹をどのように使っているか
  • 骨盤周辺の動きはどうか
  • 身体を反らす傾向がないか
  • 左右の手足をどのように動かしているか
  • うつ伏せになったとき、どのように身体を使うか
  • 授乳の際、左右で飲みやすさに違いがないか

など、赤ちゃんの身体全体を視診・触診しながら見ていきます。

「左を向くから、右を向かせる」という対処だけではなく、

「なぜ右を向きにくいのだろう?」

というところから赤ちゃんを見ることを大切にしています。

頭の形だけでなく、赤ちゃんの身体全体を見てみませんか?

頭の形が気になっている赤ちゃんに、次のような様子はありませんか?

  • いつも同じ方向を向いている
  • 反対方向へ顔を向けにくそう
  • 身体をよく反らせる
  • 抱っこすると反り返る
  • うつ伏せを嫌がる
  • 左右の手足の動き方が違うように感じる
  • 授乳するとき、左右で飲みやすさが違う
  • 身体がいつも同じ方向に曲がっているように見える

もちろん、こうした様子があるからといって、それだけで頭の変形の原因が分かるわけではありません。

ただ私たちは、頭の形を身体から切り離して見るのではなく、赤ちゃんの姿勢や動き、発達も含めて観察することが大切だと考えています。

頭の形は、「この赤ちゃんの身体をもう少し丁寧に見てみよう」と気づくきっかけの一つになることがあります。

頭の形と赤ちゃんの運動発達

赤ちゃんが動き始めると、頭にかかる圧力も変わります

生後間もない時期は、赤ちゃんは仰向けで過ごす時間が長くなります。

しかし成長して、自分で頭を動かしたり、寝返りをしたり、腹ばいで動いたり、お座りやはいはいへと発達していくにつれて、後頭部の同じ場所が床や寝具に接している時間は少なくなっていきます。

つまり、赤ちゃん自身がいろいろな姿勢をとり、身体を動かせるようになっていくことも、頭にかかる圧力を分散させるうえで大切です。

そのため私たちは、「頭の形をどうするか」だけではなく、

この赤ちゃんが今、どのように身体を動かしているのか

にも目を向けます。

うつ伏せ・腹ばいの経験も大切にしています

赤ちゃんが起きていて、大人がそばで安全を確認できる状態で行ううつ伏せ遊び(タミータイム)は、後頭部への圧力を減らすだけでなく、首や肩、体幹などを使う経験にもなります。

当センターでも、施術後には赤ちゃんをうつ伏せの姿勢にして、身体がどのように動くのかを観察します。

必要に応じて腹ばい(ずり這い)の動きなどをサポートしながら、左右の手足をどのように使っているか、身体をどちらへ動かしやすいかなどを見ていきます。

そして、施術の時間だけで終わるのではなく、ご家庭でも赤ちゃんの機嫌のよい時間に無理なくできる運動や関わり方をお伝えしています。

※うつ伏せの姿勢は、赤ちゃんが起きていて大人が見守っているときに行います。睡眠時は安全な睡眠環境を優先してください。

ヘルメット治療をする・しないだけで考えなくてもいい

頭の形について相談すると、

「ヘルメットをするか、しないか」

という二つの選択肢だけで考えてしまうことがあります。

でも私たちは、必ずしもそう考える必要はないと思っています。

ヘルメット治療を選択した場合にも、身体と発達を見る

医療機関で説明を受け、ご家族が納得してヘルメット治療を選択することもあるでしょう。

その場合でも、赤ちゃんの向き癖や姿勢、身体の動き、運動発達を見ることはできます。

ヘルメットで頭の形にアプローチすることと、赤ちゃん自身がさまざまな方向へ身体を動かし、発達していくことを支えることは、必ずしも対立するものではないと私たちは考えています。

ヘルメット治療を選ばなかった場合にも、できることを考える

反対に、医療機関で相談したうえでヘルメット治療を行わない選択をするご家庭もあります。

その場合も、「何もしない」ということではありません。

赤ちゃんがいつも同じ方向を向いていないか、首を左右へ動かせているか、うつ伏せでどのように身体を使っているかなどを観察し、その子の発達に応じた関わりを考えることができます。

大切なのは、

「ヘルメットをするか、しないか」だけではなく、「この赤ちゃんに今、何が必要だろう?」

と考えることではないでしょうか。

当センターでは、頭の形をこのように見ています

例えば、左側の後頭部が平らで、いつも左側を向いている赤ちゃんが来られたことがあります。

このような場合、私たちは平らになっている左後頭部だけを見るわけではありません。

赤ちゃんの姿勢や首の動き、胸郭や体幹、骨盤周辺、手足の動きなどを身体全体として観察します。授乳時の左右差などについても保護者の方からお話を伺います。

そして頭蓋仙骨療法では、視診と触診を通して身体の動きや緊張、可動性などを確認しながら、非常にやさしいタッチでその赤ちゃんの身体に触れていきます。

私たちが目指しているのは、外側から頭の形だけを変えることではありません。

赤ちゃん自身が、よりさまざまな方向へ身体を動かしやすくなること。

そして施術後には、実際にうつ伏せになったときの身体の使い方をもう一度見ます。

腹ばいの動きなどもサポートし、ご家庭でできる運動や関わり方をお父さん、お母さんにもお伝えします。

先ほどの赤ちゃんも、経過の中でそれまで向きにくかった右側へ顔を向ける様子や、左右の手足を使う動きが見られるようになりました。

ただし、一人の赤ちゃんに見られた経過が、すべての赤ちゃんに同じように起こるという意味ではありません。

赤ちゃんの身体や発達は一人ひとり違います。

だからこそ当センターでは、その子の状態を見ながら施術と運動発達支援を組み合わせ、ご家庭での関わり方をお伝えし、数週間後にもう一度様子を確認することを大切にしています。

ヘルメット治療について知っておきたいこと

ヘルメット治療はどのような治療?

位置的頭蓋変形に対するヘルメット治療は、赤ちゃん一人ひとりの頭の形に合わせたヘルメットを装着し、頭の成長を利用しながら形の改善を目指す方法です。

適応の有無や治療開始時期などは、頭の変形の程度、月齢、成長の状況などによって異なります。

何か月までに始めればいい?

「生後○か月を過ぎたら手遅れ」と一律に決められるものではありませんが、ヘルメット治療は乳児期の頭の成長を利用するため、開始時期は判断材料の一つになります。

頭の形が気になり、ヘルメット治療について知りたい場合は、治療することを決めてから受診するのではなく、早めに医療機関で現在の状態と選択肢について説明を受けるとよいでしょう。

すでに「治療開始に適した時期を過ぎてしまったのでは」と心配している場合も、自己判断で諦める必要はありません。現在の月齢や状態でどのような選択肢があるのかを医療機関で確認してください。

費用や装着期間は?

位置的頭蓋変形に対するヘルメット治療は自由診療として行われることが多く、費用や装着期間、1日の装着時間などは治療法や医療機関によって異なります。

これらは当センターではなく、実際にヘルメット治療を行う医療機関に最新の情報を確認してください。

ヘルメット治療が必要か迷ったときのQ&A

絶壁ならヘルメット治療が必要ですか?

後頭部が平らに見えるということだけで、すべての赤ちゃんにヘルメット治療が必要になるわけではありません。

変形の程度や月齢、経過などによって対応は異なります。見た目だけで判断せず、心配な場合は医療機関で評価してもらうとよいでしょう。

同時に、いつも仰向けになっていないか、向き癖がないか、起きている時間にどのように身体を動かしているかなどにも目を向けてみてください。

斜頭は自然に改善しますか?

軽度の位置的頭蓋変形では、成長や運動発達によって後頭部への圧力が分散され、左右差が目立ちにくくなる場合があります。

一方、すべての変形が自然に十分改善するとは限りません。

「自然に治る」「必ずヘルメットが必要」のどちらかに決めつけず、変形が気になる場合には専門的な評価を受けることをおすすめします。

頭のゆがみは脳や発達に影響しますか?

位置的頭蓋変形と発達上の違いとの関連について調べた研究はありますが、「頭のゆがみそのものが発達の問題を引き起こす」と単純に断定することはできません。

そのため、「発達への悪影響を防ぐために必ず頭の形を整えなければならない」と不安になる必要はありません。

一方で私たちは、頭の形が気になる赤ちゃんについて、頭だけではなく身体の動きや運動発達も一緒に見ることを大切にしています。

「頭がゆがんでいるから発達に問題が起こる」と考えるのではなく、

「頭の形をきっかけに、この子の身体や発達についても見てみよう」

という考え方です。

ヘルメット治療と運動発達への支援は一緒にできますか?

当センターでは、ヘルメット治療を選択することと、赤ちゃんの身体や運動発達を支援することを対立するものとは考えていません。

すでにヘルメット治療を始めている赤ちゃんについても、身体の動きや発達について気になることがあればご相談いただけます。

具体的な施術や運動については、赤ちゃん一人ひとりの状態を確認したうえで考えていきます。

まとめ|「ヘルメットが必要?」から、赤ちゃんの身体全体を見るきっかけへ

赤ちゃんの頭の形が気になったとき、

「ヘルメット治療をしたほうがいいのだろうか」

と考えるのは自然なことです。

変形の程度によってはヘルメット治療が選択肢になることがありますし、病気による頭蓋変形ではないかを確認するためにも、必要に応じて医療機関で専門的な評価を受けることは大切です。

そのうえで、少し視点を広げてみてください。

赤ちゃんはどちらを向いているでしょうか。

首を左右へ動かしているでしょうか。

うつ伏せになったとき、どのように身体を動かしているでしょうか。

左右の手足をどのように使っているでしょうか。

頭の形だけを見ていると気づかなかった赤ちゃんからのサインが、身体全体を見ることで見えてくることがあります。

頭蓋仙骨 こども発達センターでは、「頭の形を整えること」だけを目的にするのではなく、頭蓋仙骨療法と運動発達支援を通して、赤ちゃんの身体全体と発達を見ていくことを大切にしています。

ヘルメット治療を勧められて迷っている方。

治療をしない選択をされた方。

すでにヘルメット治療を始めている方。

治療開始の時期を過ぎてしまったのではないかと心配されている方。

頭の形だけでなく、向き癖や身体の動き、運動発達についても気になることがありましたら、一度ご相談ください。

「ヘルメットをするか、しないか」という二択だけではなく、

今、この赤ちゃんのためにできることは何だろう。

私たちは、ご家族と一緒にそこから考えていきたいと思っています。

頭蓋仙骨療法や発達支援について、日々の臨床や学びの中で感じたことをお伝えしています。脳や発達のこと、子育てやお仕事のヒントとしてお役立ていただければ幸いです。

藤牧 経乗

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