クレニオ=Cranio=頭蓋骨を示し、セイクラル=Sacral=仙骨を意味します。CranioSacral Therapy=頭蓋仙骨療法 と、日本語に訳されています。
クレニオセイクラルセラピーの起源は、クレニオ・オステオパシーにみることが出来ます。クレニオ・オステオパシーは、ウイリアム・ガーナ・サザンランドD.O(Doctor of Osteopathy)(1873~1954)によって発展してきました。
頭蓋仙骨療法
クレニオセイクラルセラピーの起源
門外不出のこの療法に、いろいろな改良を重ね多くのモデルを作り出し、1980年代に入って世界中の多くの分野の医療関係者たち(理学療法士、作業療法士、マッサージ師、助産師、看護師、ナチュラロパス、医師・・・)に先駆けとなり広めていったのが、ジョン・E・アップレジャー D.Oです。
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では、クレニオセイクラルセラピーとオステオパシーとの違いはなにか。オステオパシーはラテン語で『骨』を意味するオステオン(osteon)と『 病気・治療』を意味するパソス(pathos)に由来した造語のため、『整骨医学』と訳されます。大きな違いは、オステオパシーは頭蓋骨の可動性を重要視している点といえるでしょう。
クレニオセイクラル セラピーでは、より深い硬膜や髄液システムに対するマニュピュレーション(手技)に重点が置かれています。 そのためクレニオセイクラルセラピーでは、頭蓋骨の可動性は一つのテクニック手段と考えます。
他の大きな違いは、クレニオセイクラルセラピーも、実際に体や頭部に触れますが、わずかに感じる程度の圧またはほとんど感じないほどの圧で行う点です。伝統的なオステオパシーやカイロプラクティックによるクレニオ矯正テクニックは、より強い力でクライアントさん自身がなおすのではなく、セラピストが矯正する形をとります。この方法ですと、セラピストが力を入れすぎて過ちを犯す危険性があり、治療が原因となって外傷を与える可能性もあり、これに留意して臨まなければならないでしょう。
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ジョン・アップレジャーM.Dのはじめの気づき
ジョン・アップレジャーM.Dが、1971年の外科手術中にそれは起こりました。彼の役目は、2組の鉗子で硬膜を静止させて押さえておくという単純な作業でした。しかし、硬膜は動いていてじっとしてはいませんでした。単純作業のはずのことを医師である自分ができず、みんなに迷惑をかけていることにとても困惑したのです。
そうして、硬膜が、1分間に約8サイクルのリズミカルな動きであることが初めて明らかになったのです。このリズミカルな活動は、呼吸や心臓のリズムとは異なるものでした。それは別の生理学的リズムでした。このようなリズムが存在している事は、その時のクルーの神経外科医も麻酔専門医も聞いたことも見たこともありませんでした。この事実は、従来のあらゆる医学または生理学の文献にもありませんでした。
それがきっかけとなり、ジョン・アップレジャーM.Dは、1975年に開業医をやめ、ミシガン州立大学オステオパシー医科大学の生体力学化に入学したのです。
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アプレジャーの2番目の気づき
ジョン・アップレジャーD.Oは,ある研究チームに入ります。同じ研究チームの建築家・デザイナーの講義を聞きました。
「自然は最善のデザインを作る。自然界におけるすべてのデザインには目的があり、それぞれの仕事の達成に最も効率的な形態になっている。我々は下手に自分本位に発明しようとするのではなく、自然の秩序を研究してそれを熱心に学ぶべきである。我々が自然のデザインを改良することは出来ない。我々はそれを理解するのみである。」
それからふたりは、6年もの間、頭蓋骨の関節をバラバラにして、なぜ自然がこの様なデザインにしたのか?それらの骨の機能を互いに研究していったのです。そして、クレニオ・セイクラル・セラピーの礎が出来上がっていったのです。
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彼の多くの経験は、臨床により積み重ねられ、ミシガン州立大学でも生体力学教授として1975年から1983年まで勤務しました。その間、解剖学、生理学、生物物理、生体エンジニア学部の指導主任を務めながら、頭蓋仙骨システムについての研究を進めていきました。その多くの分野での研究の結果、脳と脊髄との仕組みと機能が明確にされ、理解しがたい頭蓋仙骨システムの検査法や治療法を証明されていきました。
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ジョン・アップレジャー D.Oはその間も、幾つもの頭蓋仙骨治療のテクニックを開発し、改良して来ました。そのテクニック等が今日のアップレジャー財団が主催する教育セミナーの礎となっています。
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現在では、125,000以上の医療者、110カ国の世界中のオステオパス、医師、歯科医、カイロプラクター、理学療法士、作業療法士、マッサージ師、助産師、看護師……などの医療関係者がセミナーを受講し教育は続けられています。
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ジョン・E アップレジャー D.O は2012年にこの世を去りましたが、彼の功績は世界中にいる後輩たちに受け継がれて、日夜活かされているのです。日本の奈良にもその一人、マッキーが子どもたちの可能性を引き出す手助けをしています。
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「ジョン ‼️ 貴方の技と教えを日本の子どもたちに活かして参ります。
ジョン先生の生徒である誇りを胸に、また先生の顔に泥を塗らない様にまだまだ精進していく所存です。
藤牧経乘
みなさんも、ぜひ次の本を手に取られてください。
参考文献:
「頭蓋仙骨療法 」ジョン・ アップレジャー D.O : 専門書
「もうひとりのあなた 」 ジョン・アップレジャーD.O : 一般向け
「クレニオセイクラル・リズム」ダニエル・アグストニ : 専門書